魚媛

〜第11話〜

 

 祖父母と別れ、衣緒と草平は福井駅から特急サンダーバードに乗り込んだ。敦賀で乗り換え、後は一時間ほどで小浜へ着く。窓際の席で腰を落ち着けた衣緒は、左の手首を飾る赤瑪瑙を飽きることなく眺めた。窓辺の陽射しに翳すと、深い紅の中にもなお赤い縞が刻まれている。赤瑪瑙を挟む白蝶貝の不規則な光沢にも惹かれる。
「ねぇ」
 思わず笑顔になって父に見せる。
「良かったな」
 草平も微笑んで頷く。衣緒は嬉しくてたまらない様子で目を細め、頬をゆるませた。しばらく石の輝きを楽しんでいた衣緒は、思い出したようにポーチからスマートフォンを取り出し、画面に触れる。細い指先がリズミカルな動きを続けるのを草平が見守っていると、衣緒は不意にあっと声を上げた。
「すごい! 赤瑪瑙って、家族の絆を深めるんだって!」
「――へぇ」
 虚を突かれた様子で返す父に気付かず、衣緒は更に検索を進める。
「白蝶貝は、マザー・オブ・パールとも言うんだ。母性愛の象徴で、子育てのお守り――」
「衣緒」
 言葉を遮るように呼ばれ、衣緒はスマートフォンから顔を上げる。父は、心なしか青い顔で見つめてきた。
「着いたら起こすから、少し休んでおきなさい」
「うん」
 衣緒は素直にスマートフォンの画面を消すとポーチに仕舞う。が、その手は自然とブレスレットを撫でる。
「……嬉しいなぁ……」
 思わず口許をゆるめながら呟く。初めて会った祖父と祖母。初めてかけられた言葉。そして、自分のために選んでくれたお土産。衣緒は満ち足りた表情で窓の風景を見やった。
「……福井に来て良かった」
 もう少しすれば、海が見える。ずっと待ち望んでいた海を、大好きな父と見られる。父が生まれ育った福井の海が。

 あれは、三歳か四歳の頃。父と熊谷に遊びに行った時だ。衣緒は真っ赤なTシャツを着てご満悦だった。Tシャツにはリボンを着けたウサギの女の子がお澄ましした姿がプリントしてある。衣緒の大好きな絵本のキャラクター、メリーちゃんだ。つい先日伯母から送られてきたもので、衣緒は大喜びで早速身にまとった。
「とうさん」
 衣緒は嬉しそうにTシャツの裾を引っ張って父に見せる。
「可愛いね」
 父も笑顔で頷いた。
「メリーちゃん、メリーちゃん、かわいいメリーちゃん!」
 衣緒は歌うように何度も声を上げた。ぎゅっと握りしめた父の手を振りながら。そのうち、父が道端で立ち止まる。
「衣緒、郵便局寄っていいかな」
「うん」
 二人は、右手側に現れた郵便局に入っていく。
「待っててね。外に出ちゃ駄目だよ」
「うん」
 父は窓口に向かうと職員と何やら話し込み始めた。衣緒は来客用の本棚にあった絵本を手に取るとぱらぱらとページをめくった。しばらく絵本を眺め、窓口を振り返るが、父はまだ職員と話を続けている。絵本に飽きるとその辺をごそごそ歩き回る。その時、入り口の自動ドアが開く。郵便局の向かい側は本屋で、アニメのポスターやのぼりが立っている。衣緒は小走りに外へ出た。「出ちゃ駄目」という父の言葉は頭に残っていなかった。幼児向けのアニメのポスターを指差しながら、ゆっくりとよちよち歩く。そのうち、通りの角まで来て顔を上げる。何か音がする。さらさら、さらさら。耳に流れ込む音を頼りにまっすぐ歩いて行く。
 行き着いたのは川だった。幅は二メートル足らず。手を伸ばせば水面に触れることもできそうな、川と言うよりも、水路。それでも、衣緒にとっては「大きな川」だ。衣緒は恐々と水面を覗き込んだ。お世辞にも綺麗な水とは言えず、暗灰色のうねりが絶え間ない水音と共に流れてゆく。そのうねりの中央。衣緒は目を凝らした。水の揺らぎとは違う模様。
「なんだろ」
 黒く大きな何かが流れに沿って巨体を揺らしている。魚だ。よく見ると周囲にも数匹泳いでいる。衣緒は、生きている魚を目にするのはこれが初めてだった。水族館に連れて行かれたこともなく、縁日の金魚すくいですら避ける生活だ。当然、食卓に並ぶこともない。
「おさかなさん……?」
 小さな指を魚に向ける。灰色の水の中、半透明な黒いひれが右に左に揺れる。野生の鯉だ。白っぽい口がぱくぱくと開いたり閉じたりする様子がおかしく見え、衣緒は声を上げて笑った。
「おくち、ぱくぱく」
 そのうち、鯉の一匹が身を捩り、丸い眼を衣緒に向ける。そして、体をくねらせてこちらへ泳いでくる。
「あ」
 一匹。また一匹。鯉が集まってくる。鱗の一枚一枚、川面を弾く水飛沫、きらきらと踊る光に衣緒は目を瞬かせた。気付けば、衣緒の前には数十匹の黒い鯉が取り巻いている。口を開け閉めさせるたび、踊る髭。忙しなく揺らめくひれ。そして、焦点の合わない無数の丸い眼が衣緒ひとりに向けられている。だが、衣緒は目を逸らせず、じっと鯉たちを見つめた。やがて水路の淵に膝を突き、身を乗り出す。鯉も首をもたげて見上げてくる。
 呼んでる。そう感じた衣緒は、小さな手を広げると水面に向けた。あともうちょっとで、手が届く。腰を浮かし、もっと体を乗り出す。と、ぱしゃんと甲高い音が響く。
「あっ」
 空中に躍り上った鯉。薄墨色の鱗がぬめるように光る体をのけ逸らせ、飛沫を纏う。衣緒は口を半開きにして目の前に現れた生き物を凝視した。もっと近付きたい。側へ行ってみたい。立ち上がり、足を踏み出そうとした、その時。
「衣緒!」
 聞き覚えのある声が耳を劈く。と同時に脇を掴まれ、体を持ち上げられる。
「魚に近付いちゃ駄目だ!」

 そう。父はあの時そう言った。「魚に近付くな」と。「川」ではなく、「魚」に近付くなと。遠い幼い日の出来事。どうして、今、思い出したのだろう。

「衣緒」
 生暖かい泥に包まれたようなまどろみを覚ます、穏やかな囁き。今頃疲れがどっと溢れ出てきたのか、体がけだるい。うっすらと目を開け、小刻みに息を吐き出すと、ぼやけた視界に優しい微笑が映る。
「起きてごらん。海が見える」
 低い囁きが耳に届く。衣緒は目を瞬かせ、体を起こした。父が指さす方へ眼差しを向けると息を呑んで立ち上がる。そして、両手で口を覆った。
 ぼんやりとした頭を一気に呼び覚ます光景がそこにはあった。真っ青な天頂が、徐々に溶けるような水色へと変化していく先に、再び深い青と出会う。織物のように走る幾種類もの青。視界いっぱいにどこまでも続く青。真っ直ぐに続いていく、青い線。あれが、水平線。
「どう?」
 後ろから優しく声をかけられる。
「綺麗だろう」
 無言で頷く衣緒の横顔に並ぶように、草平が窓を覗く。
「小浜湾だよ。日本海とつながっているんだ」
 どこまでも続く青い視界に声を失っていた衣緒だったが、かすかに顔をしかめる。胸が大きく脈打ち、思わず胸許のワンピースを握りしめる。不意に襲われた動悸に呼吸を乱しながら、ざわつく胸に困惑する。何だろう。この胸騒ぎは。
「今日泊まる民宿は浜辺にあるんだ」
 衣緒は父を振り返った。父は少し残念そうに肩をすくめた。
「美味しい魚を食べさせてくれるところなんだけど……、俺たちは食べられないな」
「……父さん」
「でも福井は魚以外にも美味しいものがたくさんある。もう、知ってるな?」
「うん」
 気を取り直すように微笑むと、父はその大きな手で優しく肩を撫でてきた。その温かさが頼もしく感じた衣緒は思わずそっと父に寄り添った。そして再び窓の風景に見入る。ああ、青い。どこまでも青い。こんな風景は、初めてだった。

 小浜で電車を降りるとバスに乗り換える。揺られること十数分。空がほんのり色づき始めた頃、父娘はバスを降りた。浜辺町のはずだが、背後は山深い。鬱蒼と生い茂る小高い山を見上げると、衣緒はこめかみに流れる汗を拭う。
「この辺りが仰浜というところなんだ」
「あおがはま?」
「仰ぐ浜と書くんだよ」
 衣緒はにこっと笑った。
「いい名前だね。素敵」
 道路標識に「仰浜」と「美晴山」があり、浜の方へ向かおうとした衣緒を呼び止める。
「衣緒、美晴山に寄っていいか。すぐそこだ」
 振り返ると、草平は背後の小山を指さす。
「お寺があってね、ここへ来る時はいつも参拝してたんだ」
「うん、いいよ」
 特に反論することもなく、父に従う。
 夕暮れが迫ってきたとはいえ、蒸し暑さはまだ続いている。降り注ぐ蝉時雨。胸を締め付けるような物悲しい
ひぐらしの音に耳を傾ける。喉を伝う汗をハンカチで押さえながら、衣緒は自分たちを包む森を見上げた。
「あそこ」
声を上げて指差す娘に頷く。滴る緑から寺の屋根瓦が見え隠れしている。
「美晴寺だ」
 それきりふたりは口を閉ざし、寺に向かう。なだらかな坂道が山門まで導き、やがて古寺が姿を現す。鄙びた佇まい。時を重ね、褪せた屋根瓦。かつて多くの足で削られた参道。風雨に晒され、傾いだままひっそりと立ち尽くす五輪塔。ここだけが、十五年前と何ひとつ変わらない。その中で、草平は視線を彷徨わせてあるものを探した。やがて眼差しが一基の古ぼけた墓石を見つけ出す。消えかかった文字だが、草平の目は刻まれた墓標を忘れるはずもなかった。
「魚媛尼之墓」
 一瞬蜩の鳴き声が静まり、風が渡る。
「ああ、いい風だ」
 衣緒は目を細めて喜ぶが、風が起こす葉擦れのざわめきは、草平の胸をかき乱した。人気のない本堂。その奥に誰かが待っている気がしてならなかった。
 美晴寺と墨書された額を見上げると、衣緒は神妙な顔つきで手を合わせ、項垂れた。草平も静かに合掌する。仄暗い眼裏の奥で、鳴り止まない葉擦れに胸が波打つ。葉擦れの響きは、やがて聞き覚えのある音へと変わっていく。これは、波音――。
「父さん」
 娘の声に、反射的に瞳を開く。手を離して振り返ると衣緒が天井をじっと見上げている。欄間に刻まれた人魚。踊る波間から裸体を晒し、優雅な笑みを湛えている。天女のような清らかさと、娼婦のような艶めかしさが同居した彫り物に衣緒は複雑な表情を見せている。
「……浜が近いからね」
 かすれた声で囁く。黙ったままの娘を見やると、大きな目を瞠り、薄紅色の唇をきゅっと引き結んで人魚に眼差しを注いでいる。
「――行こうか」
 声をかけると、衣緒は頷いて素早く踵を返した。
 葉擦れと蝉時雨の喧騒に包まれた寺を後にすると、父娘は浜へ向かった。
「荷物」
 衣緒がボストンバッグを指差し、代わるようにと手のひらを広げるが、草平は顔を振った。
「大丈夫だよ」
 そして、先ほどから口数が減った衣緒の顔を見やる。どことなく力のない面立ちだ。
「疲れただろう。一日中移動ばかりで」
「ちょっとね」
 だが、衣緒は表情を和らげると前を向く。
「でも、ご飯は美味しかったし、おじいちゃんやおばあちゃんにも会えたし。それに、お土産までもらったし」
 そう言って手首をしなやかにひねると、やや弱まった陽射しを受けた赤瑪瑙と白蝶貝がちかりと光る。
「よっぽど気に入ったんだな」
「だって!」
 甲高い声を上げると同時に笑顔が咲く。両手を後ろで組み、くるりと踊るようにして振り返ると、純白のワンピースが花弁のように広がる。黒目がちの瞳は潤いに満ち、衣緒は生き生きとした表情でまくし立てた。
「だって、おばあちゃんが私のために選んでくれたんだよ! 私に似合うかなぁとか、そういうこと考えてくれたってことでしょう? 私のこと、考えてくれたんだ。思ってくれたんだ――」
 衣緒の言葉は、彼らを包む一陣の風が掻き消した。衣緒は短く声を上げて鼻を押さえた。
「なに、この匂い……」
 鼻腔をくすぐる香り。体にまとわりつく、湿り気を帯びた風。草平はボストンバッグを地面に置き、喉許の汗を拭うと息をついた。
「潮風だよ」
 その言葉を耳にした途端、衣緒は体を強張らせた。が、すぐに眼差しを彷徨わせると浜辺へ続く道を駆け始める。
「待って、衣緒」
 慌てて後を追う草平。垣根のように続く木立に沿って走る衣緒。息を切らし、ワンピースの裾を押さえながら駆け続け、不意に眺望が開ける。
 その「青」を前にして、衣緒は根が生えたように立ち尽くした。電車から目にした海と違い、波は沸き立つように踊り、打ち寄せる波は白く砕ける。水着姿の人々が、色付き始めた空を背に、帰り支度を始めている。
 耳の奥に忍び込む、繰り返される規則正しい波音。「しょっぱい」香り。衣緒の顔からは、見る見るうちに血の気が失せていった。あの「黒い夢」はやっぱり海だった。暗闇に蠢くなお黒いうねり。不安を掻き立てる、引きずるような波音。そこから足を掴まれるのだ。氷のように冷たい、手が。
「衣緒」
 呼びかけると、衣緒はびくりと体を跳ねらせて振り返る。
「海だよ」
「……うん」
 傍らに寄り添うと、娘はぴったりと体をくっつけてきた。眼前に広がる海は潮風を送り、衣緒の柔らかい黒髪をゆるく掻き撫でてゆく。気のせいか、乱れた髪を耳にかける指がもつれているようにも見える。
「綺麗だろう。……もっと間近で見てみるか」
 そう言って足を踏み出すが、衣緒は父親の手を掴んだ。
「いや――、いいよ、ここでいいよ」
「衣緒……?」
 眉をひそめると、強張った顔つきの娘を見下ろす。そして、オレンジ色に染まり始めた浜辺に寄せる波飛沫を見やる。
「せっかくだから、日が暮れる前に波打ち際まで行ってみないか」
 と、言いながら衣緒の手を引いた瞬間。
「やだ!」
 甲高い悲鳴と共に、体が揺れるほどの力でしがみつかれる。草平は心臓を鷲掴みにされたように息を止め、娘を凝視した。が、
「――あ、ご、ごめん、ちょっと、待って、まだ、心の準備が」
 必死に言い繕う衣緒の細い肩を撫でてやると、彼女は泣き出しそうな顔で唇を閉ざした。薄紅色のはずの唇は、今や蒼い。
「……衣緒、ごめん」
 草平は顔を歪めて呟いた。衣緒は真っ白な顔で見上げてくる。父娘の間に、白く崩れる波が踊る。渦巻く潮騒に衣緒はますます顔を歪めた。
「今まで……、海に連れてこなかったもんな。怖いよな、ごめん」
 父の詫びに衣緒は黙って顔を横に振る。草平は哀しげに口許を歪めて項垂れた。
「でもな、衣緒。ここが……、ここが」
 おまえの、生まれた故郷だ。
 その言葉が喉許で引っかかり、ようやく呑み込む。しばらく黙って衣緒の肩を掴んだまま立ち尽くしていると。
「……ちょっと、降りてみる」
 はっと顔を上げる。衣緒は、まだ少し青い顔ながら笑顔を見せた。
「浜辺、ちょっと降りてみる」
「無理するな」
「大丈夫」
 衣緒はそう囁くと、父親の腕に両手でしがみつきながらゆっくりと足を運んだ。草平はボストンバッグを持ち直すと、娘の手を軽く叩いた。すると、どこか安心したような笑みを浮かべる。舗装された道路から浜辺へ向かうコンクリートの階段を一段一段降りる。そして、衣緒の小さなサンダルが浜の砂地をゆっくりと踏みしめた。
 浜辺へ降り立つと衣緒は耳を澄ませ、目を眇めて波を見つめた。まるで、何かを探すように。何かを、確かめるように。草平は黙って娘の横顔を見守った。やがて彼女は足許に目をやった。
「……貝殻だ。海草も」
「そうだね」
 湿った砂地に埋もれるように、乳白色に輝く貝や青々とした海草があちこちに転がっている。父娘はゆっくりと浜辺をそぞろ歩いた。貝殻や海草だけでなく、ペットボトルやビニール袋といったものも目に付く。
「ゴミもあるんだ」
「観光客のものばかりじゃないよ」
 そう言って、割れた瓶を靴先でつつく。瓶には、外国語の表記が。英語でもなさそうだ。
「波に乗って運ばれてくるんだ」
「へぇ。なんかロマンチックだね」
 衣緒の声色がほぐれてきたことに、草平はほっと胸を撫で下ろした。
「あ、なんだろ」
 そう言って衣緒は父の腕を離すとしゃがみ込んだ。衣緒の白い指先が、砂に埋もれかけた破片を摘まみ上げる。ソーダのような爽やかな水色のガラス片。ざらざらとした表面で半透明になっている。厚みは1センチほどだ。
「魔法のメガネか」
「え?」
 父親を見上げ、腰を上げると手のひらに載せる。少し歪んだ多角形。ぽったりとした質感。その破片は衣緒の手に馴染んだ。
「割れたガラスが波間に揉まれているうちに表面が削れて、擦りガラスのようになるんだ。それを、誰かが魔法のメガネって表現していたな」
「わぁ」
 衣緒は『魔法のメガネ』を太陽に翳して覗き込んだ。ソーダ色が柔らかな光を帯びて輝く。
「綺麗」
「うん」
 草平は足許を見渡すと指さす。
「あそこにもある」
「あっ、茶色だ。これも可愛い」
 衣緒は夢中になって砂に埋もれた魔法のメガネを探した。浜辺で波と戯れることだけが海の楽しみではない。ずっと熱望していた海で、魔法のメガネを探す。そこに楽しみを見出した娘の姿に安堵するが、胸の奥底には不安がこびりついて離れない。海を怖がる衣緒の表情は尋常ではなかった。あんなに憧れていたのに。何が彼女をそこまで怯えさせたのか。
「見て、こんなにあった」
 両手いっぱいに魔法のメガネを載せて微笑む衣緒に頷いてみせる。
 衣緒。ここが故郷だよ。なのに、どうしてそんなに怖がるんだ。
 草平は茜が差す西の空を見上げた。

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