魚媛

〜後書き〜

 

 現代伝奇小説「魚媛」、完結です。

 自分にとって、現代を舞台にした作品で完結までできたのは初めてかもしれません。普段歴史物を書くことが多いので、とても新鮮でした。

 元々、この作品を思いついたのは2年ほど前。人魚が人間の子を卵で産むという夢をみたのがきっかけです。
本文中にもあった、寒天質の卵に包まれた赤ん坊というのは夢でみたそのままの記述です。目が覚めてからしばらくは胸がもやもやしていたのを覚えています。それで、もやもやするぐらいなら小説にしてしまおうと結論づけ、執筆に至りました。

 きっかけは少々強引でしたが、衣緒と草平という人物像を作り上げた時から楽しく書き進めていくことができました。
 とはいえ、草平という壮年の男性を主人公に据え、娘の衣緒がヒロインというのはなかなか書くのが難しかったです。ダブル主人公に近い状態で、しかも不慣れな現代物でもあり、手探りのまま書き続けていった感じです。
色々と初めての要素が多い作品でしたが、ひとつ楽しみだったのが福井県に関する資料集めです。
 福井県は昔永平寺に行ったきりで、知識がほとんどなかったのですが、名産品や美味しいもの、方言などを調べるのは大変でしたが楽しかったです。

 作品としては、少し不安定なところがある衣緒をどう表現するのかが難しかったです。そして、現代の現実世界に妖(あやかし)が入り込んでいる日常が表現しきれていたか……、まだまだだと思っています。
 人魚に憧れを持ち、人魚と出逢い、人魚を愛してしまった草平。その娘である衣緒が愛おしくてたまらない。それが、伝わるように書き切れたかどうか……。

 一応、お話の続きは考えてはいますが、それを書くかはまだ考え中です。今は完結できて一安心といったところです。

 最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました。

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